先日、急に海が見たくなった。
「新宿から近い、きれいな海」で検索して出てきたのが、葉山の一色海岸。
自宅からだと約2時間。まあまあ遠い。
でも新宿から逗子までは湘南新宿ラインなら乗り換えなしで行ける。それなら意外と気軽かも、と思って即決。
娘を連れて、海岸を散歩しに行くことにした。
久しぶりに晴れた週末……と言いたいところだけど、正しくは曇り。
それでも雨は降らなそうだったので、今日はゆっくり写真を撮ろうと思い、カメラを3台持って出かけた。
今回持っていった3台
まずは、PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-FA 31mm F1.8 Limited。
娘と一緒なので、やっぱり動きながら切り取っていく撮影にはこれが使いやすい。
先日Lightroomでプリセットを作って色味を調整してからというもの、K-3 Mark IIIを積極的に持ち出したくなっている。
測距点レバーでファインダーを覗いたままピント位置を動かせるのも、こういう子どもとの散歩ではやっぱり便利。
もう一台は、PENTAX K-1 Mark II + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art。
43mm Limitedにするか少し迷った。
でも今日は曇り。SIGMA 35mm Artの、ハイライトがクリアに出ながらも全体としてコントラストが強くなりすぎない感じが合うかもしれないと思ってこちらを選んだ。
そして最後が、SIGMA DP2 Merrill。
最近、このカメラのためなら三脚を持ち出してもいいと思えるくらい気に入っている。
完全にFOVEONセンサー中毒発症中。
……いや、もういろんなカメラ中毒にかかっている気もする。
新宿から逗子、そして一色海岸へ
新宿でランチを購入。
ピクニックシートも持ってきたので、海を見ながら現地で食べるつもりだ。
電車に揺られて逗子へ。そこからバスに乗り換えて、一色海岸へ向かう。
思っていたよりスムーズに到着した。
住宅の間の細い道を抜けていくと、その先に海が見えてくる。
久しぶりの海だ。

住宅の間を抜けて、最初に見えた海。娘もしばらく海を眺めていた。
一色海岸という名前から、なんとなくもう少し「おしゃれな葉山」みたいな景色を勝手に想像していた。
実際に着いてみると、開けた空と、海と、砂浜。基本的には、それだけ。
いいね。こういうのがいい。
おしゃれなカフェとか、映えるスポットとか、そういう余計な提案はいらない。
海があって、人が少なくて、静かに歩ける。それで十分だった。
水の透明度も高く、砂浜にはゴミもほとんど見当たらない。ゆっくり散歩するには、とても気持ちのいい場所だった。
娘にとっては、波も遊び道具
娘は波を怖がるかなと思っていたけれど、全然そんなことはなかった。
寄せてくる波に近づいて、波が来たら逃げる。引いたらまた近づく。
特に教えたわけでもないのに、すぐに遊び方を理解したらしい。

波が来たら逃げて、引いたらまた近づく。すぐに海での遊び方を見つけたらしい。
貝殻拾いも同じ。「貝殻拾ってみる?」なんて言う前に、勝手にしゃがみ込んで拾い始めていた。
子どもってこういう場所に来ると、自分で遊びを見つけるのが本当に早い。
そんな娘を追いかけながら写真を撮る。
曇った空。その雲の向こうから差してくる柔らかな光。海面に反射する淡い光。
その景色が、とてもきれいだった。
曇りの海も悪くない
晴れた海ももちろんきれいだと思う。
でも、この日の景色は彩度もコントラストもそれほど高くなくて、全体的にとても落ち着いていた。
青い空、青い海。という分かりやすい美しさではない。
グレーの空と、少し青みを帯びた海。その間に柔らかな光が入ってくる。

雲の隙間から差す光が海面に落ちる。晴れていないからこそ見えた景色だった。
こういう景色は、目にも心にも優しくて好きだ。
そして、それを光学ファインダー越しに見ながら撮る。
デジタルカメラなのに、撮る瞬間に見ているのはモニターに作られた映像ではなく、その場からレンズを通って入ってきた光そのもの。
海を眺めながらファインダーを覗いてシャッターを切る。
なんて贅沢な時間なんだろうと思う。
岬の上でランチ
途中、少し高くなった岬の上にピクニックシートを敷いた。
そこで娘と二人でランチ。
海を眺めながら食べて、また少し歩いて、帰りながら貝殻を拾う。
そんな感じで、一色海岸にいたのは2時間半くらい。
もっとのんびりしていたかったけれど、新宿まで約2時間。子連れなので、あまり遅くなる前に帰ることにした。
特別なことをしたわけではない。
海まで行って、娘と歩いて、貝殻を拾って、ご飯を食べて、写真を撮った。
でも、こういう一日の写真の方が、あとで見返したときにいろいろなことを思い出す気がする。
今回はカメラごとに写真を見てみる
今回は3台ともかなり性格の違うカメラを持っていった。
- PENTAX K-3 Mark III + FA31mm Limited
- PENTAX K-1 Mark II + SIGMA 35mm F1.4 Art
- SIGMA DP2 Merrill
同じ日の、同じ海。それでも、カメラやレンズが変わると残ってくる景色もかなり違う。
PENTAX K-1 Mark II + SIGMA 35mm F1.4 Art
この日の一色海岸は、到着したころはほぼ曇り空。
海も空も彩度が低く、全体が淡いグレーとブルーでつながっていた。
でも完全に光がないわけではなくて、雲の隙間から時々柔らかな光が落ちてくる。
今回K-1 Mark IIにSIGMA 35mm F1.4 Artを付けてきたのは、この景色には合っていた気がする。
35mmなので娘を少し離れたところから撮れば、人物だけではなく、そのとき見えていた海や空まで一緒に残せる。

そして風景を撮ると、曇り空から海面、砂浜までの微妙な明るさの変化がきちんと残る。
派手な色ではない。
でも、この日の海はむしろこのくらいがいい。



途中から雲が少し切れて、海面に光が反射し始めた。
曇っていたからこそ、その光が余計にきれいに見えた。


PENTAX K-3 Mark III + FA31mm Limited
娘と一緒に歩くときに一番手に取っていたのは、やっぱりK-3 Mark IIIだった。
FA31mm Limitedを付けると、35mm判換算で約47mm。
K-1に付けた35mmのようにその場全体を大きく取り込むというより、娘の動きを見ながら必要なところを切り取っていく感覚になる。


波に向かって歩いたり、急に走り出したり、足元の何かを見つけて立ち止まったり。
小さな子どもと一緒にいると、こちらが構図を考えて待っている時間なんてほとんどない。
ファインダーを覗いて、測距点レバーでピント位置を動かして、そのまま撮る。
やっぱりこの操作感はかなり使いやすい。


以前はK-3 Mark IIIのグリーンの強さや、色のまとまり方に少し違和感があって、K-1ほど積極的に持ち出していなかった。
でもLightroomで自分好みのプリセットを作ってから、その印象がかなり変わった。
今回のような彩度の低い曇り空では、淡いブルーやグレーの中に娘の服の色が自然に残っている。
カメラ自体の性能が自分に合わなかったのではなく、色の仕上げ方が自分の好みに合っていなかっただけなのかもしれない。
それが分かってから、このカメラを持ち出すのがかなり楽しくなった。

娘を追いかけていたはずなのに、気づけばファインダーは雲の隙間から落ちる光や、海面の反射にも向いていた。
こういうふうに、散歩の途中で撮りたいものが少しずつ変わっていくのも楽しい。


SIGMA DP2 Merrill ― 風景を見るためのカメラ
そして最後がSIGMA DP2 Merrill。
K-3 Mark IIIやK-1 Mark IIでは、どうしても娘を見ながら撮っている。
でもDP2 Merrillを手にすると、自然と見るものが変わった。
雲。海面。波。岩。そこに落ちる光。
急に風景の細かな部分が気になり始める。
今回は日中だったので、絞っても十分にシャッタースピードを稼げる。
DP2 Merrillを持ってきたけれど、三脚は必要なかった。
これは海を選んで正解だった。


特に面白かったのが、海岸から突き出した岩場。
岩の細かな筋や濡れた部分、そこに付いた苔、岩の間に溜まった海水。
肉眼ではひとつの景色として見ていたものが、撮った写真を見るとひとつひとつ別々に残っている。


海面も同じだった。
遠くから見ると静かな海なのに、写真の中には細かな波がずっと続いている。
その上に雲の隙間から落ちてきた光が乗る。
こういうものを撮ると、やっぱりDP2 Merrillは面白い。

そしてSIGMA Photo Proで現像しながら、何枚かはモノクロにもしてみた。
カラーでは海や岩、光の微妙な色を見ていたのに、色をなくすと今度は雲の厚さや光の方向、岩の形が急に前へ出てくる。
同じ景色なのに、見ているものが変わる。
これも最近DP2 Merrillを触っていて楽しいところだ。


FOVEONセンサー中毒。
たぶん、しばらく治らない。
今回使用した機材
今回使った機材のうち、現在購入できるものをまとめておきます。
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同じ海でも、カメラを替えると見ているものが変わる
こうして写真を並べてみると、3台の違いは写りだけではなかった。
K-3 Mark IIIでは、娘の動きを追いながら瞬間を切り取る。
K-1 Mark IIでは、娘と海、その場の空気や光まで一緒に残す。
そしてDP2 Merrillを持つと、少しだけ娘から視線が離れて、雲や波や岩をじっくり見るようになる。
同じ一色海岸を歩いていたのに、手にしているカメラによって自分が見ていたものまで少しずつ違っていた。
海を見たくなって出かけただけの一日だったけれど、こういう何でもない日の方が、あとから写真を見返したときにそのときの空気まで思い出せるのかもしれない。